たったひとりの人に

梅雨の合間の青空をぬって、車で小一時間ほどの山間にある滝へ、時々泳ぎに行くのが何よりの楽しみです。

 

山からゴーゴーと音を立て落ちてくる、凍えるほど冷たい湧き水を全身に受け、程よい深さの滝壷へと身を投じると、古えのキリシタンのバプテスマさながらに、痺れた頭は小さい我を忘れ、もっと大きなものの一部となり、子供の頃の活気に満ちたエネルギーへと、瞬時に戻してくれるのです。

 

この日は滝の水に美しい虹も現れ、このささやかなひと時に、素晴らしい彩を添えてくれました。

 

私の相棒の「魂さん」は、自然の中で遊ぶのが大好きです。

 

私は性別も年齢も分別もすっかり脇に置いて、男の子のように水の中でハイになります。

うぉーっ!と叫びたくなり、腹の底から笑いが溢れて来ます。

 

魂さんは言います。

「たったひとりで良いのだ」と。

 

もし自分の人生の中で、たったひとりの誰かが、ただの一回だけでもいい、「あなたに会えて良かった。ありがとう!」と心から言ってくれたら、私達の人生は、もうその時点で大成功なのだ、と。

それ以上、しなければならないことは何もない。

 

後はずっと遊んでいてもいい、寝転がっていてもいい、恋ばかりしててもいい、怠けてもサボってても、悩み続けていてもいい。全てが本当はOKなのだ、と。

 

でも出来れば、出来る限り幸せでいて下さい。

 

人間が遊べるように、神様は沢山の美しきものを作ってくれました。

 

もし今までの人生で、まだ誰からも「会えて良かった」と言われていなかったのならば、どうぞ目の前の人にそう言ってあげて下さい。

その人は意味あって、あなたの前に居てくれています。

 

理由は何も要りません。

 

あなたが放った言の葉は、宇宙を旅して、きっとあなたの元へと戻って来ることでしょう。

 

たったひとりの人に。

 

全てはここから始まります…

 

 

 

れべいゆ