ふと、雨の中、入江に咲いている山桜に会いに行きました。
日本中、自粛、自粛の毎日…東京オリンピックの延期が決まり、人々の閉塞感は、さらに加速しているように感じます。
誰も来る人のいない、寂れた古い港の岸で、世の中の騒ぎには全く関係なく、そぼ降る冷たい雨に濡れながら山桜は、この春のひとときを咲き誇っています。
知らない間に、縮こまっていた自分の身体を感じます。
海に向かい、思い切り伸びをして深呼吸します。
風に散った小さく頼りない白い花びらが波にさらわれて沖へと運ばれ、やがて見えなくなりました…。
禅タロットカードの中には、「change」という名の大アルカナがあります。
「この世に変わらぬもの、留まるものなどひとつもない。全ては例外なく変化する。そして、ただひとつだけ変わらないのは…《変わらぬものは無い》という真理だけ。」
カードはそう伝えています。
寄せた波は去り、咲いた花は散り、去った波は寄せ、散った花は再び咲き誇ります。
強い光には濃い影が生じ、上がったものは下がり、濃い影からは光が生まれ、下がりきったものは再び上がり始めます。
正反の法則から逃れられるものは存在していません。
でも私たち現代人は、あまりにも明るさに馴れ、上昇することだけが使命だと思い込んでいたのでしょう。
今、地球の至る場所で動きが止まり、多くの人が我が家へ戻り、外へ向いていた意識は、内側へと還るチャンスでもあります。
最大限の防御をしつつ、この好機を活かし、必ず巡ってくる解放のときを待ちましょう。
そして、今、最前線で戦っていらっしゃる方々のご苦労が一日も早く終わりますように、心から、心から、お祈りいたします。
れべいゆ